公的年金等控除とは?年金に税金がかかる目安と計算方法を解説

老齢年金を受け取ると、年金額の全額に所得税がかかるわけではありません。まず公的年金等控除を差し引き、ほかの所得や所得控除も確認して、税金がかかるかを判断します。

公的年金等控除とは?対象になる年金を確認

みらい犬

老後の生活費を考えると、年金の額面がそのまま課税対象ではないと知って少し安心するワン。でも、控除と手取りは別の話だから落ち着いて確認したいワン。

公的年金等控除は、老齢基礎年金・老齢厚生年金などの収入から差し引き、公的年金等に係る雑所得を計算するための控除です。国民年金基金、厚生年金基金、一定の企業年金なども対象になります。複数の対象年金があれば、原則として年間の収入金額を合算して計算します。

計算の基本は公的年金等の年間収入額-公的年金等控除額=公的年金等に係る雑所得です。控除額が年金収入以上なら、この雑所得は0円。控除額そのものが払い戻される制度ではありません。

一方、障害年金・遺族年金は原則として非課税です。課税対象の老齢年金と混ぜて、公的年金等控除を計算する必要はありません。民間の個人年金保険も通常は別の計算方法になるため、年金という名前だけで判断しないようにしましょう。

公的年金等控除はいくら?年齢・収入別の計算表

みらい犬

僕は「年金なら一律の控除額かな」と思っていたワン。年齢だけでなく、年金以外の所得も関係するので見落とさないようにするワン。

控除額は、その年の12月31日時点の年齢、公的年金等の年間収入、そして「公的年金等に係る雑所得以外の所得」の合計額によって変わります。以下は、その年金以外の所得の合計額が1,000万円以下の場合の早見表です。

公的年金等の年間収入額 65歳未満の控除額 65歳以上の控除額
130万円未満 60万円 収入330万円未満なら110万円
130万円以上330万円未満 収入額×25%+27万5,000円 110万円
330万円以上410万円未満 収入額×25%+27万5,000円 収入額×25%+27万5,000円
410万円以上770万円未満 収入額×15%+68万5,000円 同左
770万円以上1,000万円未満 収入額×5%+145万5,000円 同左
1,000万円以上 195万5,000円 同左

表の最初の2行は年齢によって収入区分が異なるため、65歳以上は330万円未満なら110万円、65歳未満は130万円未満なら60万円と読みます。65歳未満で130万円以上410万円未満の計算式は同じです。

年金以外の所得の合計額が1,000万円超2,000万円以下なら表の控除額から10万円、2,000万円超なら20万円を差し引きます。ここで比べるのは給与の額面ではなく、給与所得控除などを反映した所得の合計額です。なお、収入が少ない場合でも雑所得をマイナスにはしません。

計算例と、所得税がかかるか調べる手順

みらい犬

僕も電卓をたたく前に、年金収入と所得をごちゃまぜにしそうだワン。まず年金の所得を出してから、ほかの控除を見る順番で整理するワン。

たとえば、65歳以上で老齢年金の年間収入が200万円、年金以外の所得がない場合、控除額は110万円です。公的年金等に係る雑所得は200万円-110万円=90万円となります。65歳未満で年金収入200万円なら、控除額は200万円×25%+27万5,000円=77万5,000円、雑所得は122万5,000円です。

ただし、年金の雑所得が出ても、直ちに所得税がかかるとは限りません。所得税を調べるときは、次の順番で考えます。

  • ① 源泉徴収票などで、その年の課税対象となる公的年金等の収入額を確認する
  • ② 年齢と年金以外の所得に応じた公的年金等控除額を引く
  • ③ 給与所得・事業所得など、ほかの所得があれば加える
  • ④ 基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、医療費控除など、適用できる所得控除を引く
  • ⑤ 課税所得が残るか確認し、税率や税額控除などを反映する

たとえば年金の雑所得が90万円でも、適用できる所得控除の合計が90万円以上なら、ほかに所得がない場合、原則として所得税の課税所得は生じません。基礎控除額はその年の所得や適用年分によって異なるため、「年金収入が何万円なら必ず非課税」と一律にはいえません。住民税は所得税と判定基準が異なり、所得税が0円でも住民税がかかる場合があります。

源泉徴収・確定申告で注意したいこと

みらい犬

振込額が想像より少ないと、税金だけが原因だと思い込んでしまいそうだワン。通知書で税金と保険料を分けて見るようにするワン。

老齢年金の振込額は、税金の源泉徴収や介護保険料・医療保険料などの特別徴収によって、支給額より少なくなることがあります。公的年金等控除は税務上の所得計算に使うもので、振込のたびに控除額がそのまま入金されるわけではありません。

また、一定の条件を満たす人には公的年金等の確定申告不要制度があります。一般に、公的年金等の収入金額の合計が400万円以下で、その全部が源泉徴収の対象となり、年金以外の所得金額が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です。ただし、申告して医療費控除などによる還付を受ける場合や、住民税の申告が必要な場合は別です。外国で支払われる年金など、源泉徴収の対象外の年金がある場合にも注意しましょう。

税額や申告の要否は、年分ごとの制度と本人の状況で変わります。最終確認には国税庁の「公的年金等の課税関係」「確定申告が必要な方」、住民税についてはお住まいの市区町村の案内を利用してください。

【シミュレーター】公的年金等控除と雑所得を試算してみよう

みらい犬

年齢や収入を変えると、控除額がどう変わるのか気になるワン。試算はあくまで目安として、最後は書類と公式情報を照らし合わせるワン。

年末時点の年齢、公的年金等の年間収入額、年金以外の所得の合計額を入力すると、公的年金等控除額と公的年金等に係る雑所得の目安を確認できます。

公的年金等控除額・年金の雑所得シミュレーター

一般的な公的年金等控除の速算表を用い、公的年金等以外の合計所得金額が1,000万円超・2,000万円超の場合の控除額の減額も反映します。入力する年金収入は非課税の障害年金・遺族年金を除いた年間額です。結果は年金の所得額の試算であり、所得税の課税・申告要否は基礎控除などの所得控除や他の所得も含めて別途判定してください。

この試算は所得税額・住民税額や手取り額を計算するものではありません。給与などほかの所得、所得控除、税額控除、源泉徴収済みの税額は別途確認してください。制度改正の適用年分にも注意し、実際の申告では国税庁の最新情報を優先しましょう。

まとめ|控除額と税金の有無は分けて考えよう

みらい犬

年金収入から控除を引いたあと、さらに所得控除を確認する流れがつかめたワン。老後の家計を考えるときも、額面と税金と振込額を分けて見るワン。

公的年金等控除は、課税対象となる老齢年金などの雑所得を求めるための控除です。年金以外の所得が1,000万円以下なら、控除額の目安は65歳以上・年金収入330万円未満で110万円、65歳未満・同130万円未満で60万円。年金収入が多い場合は所定の計算式を使います。

所得税の有無は、年金の雑所得だけでは決まりません。ほかの所得と適用できる所得控除を合わせて確認し、源泉徴収票と国税庁・市区町村の案内を見ながら判断しましょう。

この記事は2026年10月4日時点の情報に基づく一般的な解説です。個別の税額、申告義務、改正の適用年分は事情によって異なります。申告前には国税庁やお住まいの市区町村の最新情報を確認し、必要に応じて税務署や税理士へ相談してください。

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