老後資金を使い始めるとき、「預金を先に使ってNISAは残すべき?」と迷うかもしれません。答えは一律ではなく、手元に残す現金と、投資を続けられる期間を分けて考えることが大切です。
預金とNISA、取り崩す順番に正解はある?
みらい犬
基本は、近いうちに使うお金と緊急時のお金を預金で確保し、残りを預金・NISAから計画的に使うことです。「預金をすべて使い切ってからNISAを売る」「NISAを先に全部売る」の二択ではありません。
| 資産 | 老後の取り崩しでの役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 預金 | 毎月の不足分や急な支出に備える | 使いすぎると現金の余裕がなくなる |
| NISAの運用資産 | 長く使わない分を保有し、必要に応じて売却する | 価格が変動し、必要なときに値下がりしている場合がある |
NISAは資産を非課税で運用できる制度ですが、元本は保証されません。一方、預金は日々の支払いに使いやすい反面、生活費に対して十分な残高がなければ安心とはいえません。それぞれの役割から順番を考えましょう。
最初に「残す預金」を決める
みらい犬
取り崩しを始める前に、預金から「すぐに使う分」と「備えとして残す分」を分けます。目安を決める際は、次の順で家計を確認すると整理しやすくなります。
- 公的年金などの定期収入と、毎月の生活費との差額を出す
- 旅行、家電の買い替え、住宅の修繕など、数年以内の予定支出を足す
- 医療・介護、家族の事情などに備える予備費を決める
- 収入が変わった場合や相場が下落した場合も想定する
例えば、年金などでは賄えない生活費が月5万円なら、年間の不足分は60万円です。生活費の不足に備えて預金を2年分確保するなら120万円となり、これに予定支出と予備費を加えます。「何年分なら落ち着いて暮らせるか」は家計や健康状態によって異なるため、年数を固定の正解と考えないでください。
預金がこの必要額を下回るなら、NISAの資産を一部売って現金を補う選択肢もあります。逆に預金が十分なら、当面は預金から不足分を支払い、NISAを急いで売らない考え方もできます。
NISAを売る時期と金額はどう決める?
みらい犬
NISAの取り崩しは「毎月一定額を売る」「年に数回、必要額だけ売る」「預金の残高が決めた水準を下回ったら補充する」など、複数の方法があります。手間の少なさと、相場が下がったときに売却額を調整できるかを比較しましょう。
例えば、預金が500万円、NISAの評価額が800万円、生活費の不足が年60万円の人を考えます。予定支出と予備費を含めて預金300万円を維持したいなら、預金から使える余裕は200万円です。単純計算では約3年分の不足額を賄えますが、その間も予定外の出費は起こり得ます。「3年間は絶対に売らない」ではなく、半年や1年ごとに見直すほうが現実的です。
- 相場が大きく下がったとき:預金に余裕があれば売却を抑える選択肢がある。ただし回復するとは限らない
- NISAの比率が高くなったとき:一部を売り、生活費に使う預金を厚くする選択肢がある
- 今後数年で使う予定が決まったとき:売却時点の価格に左右されないよう、段階的に現金化する方法もある
投資信託や株式を売却しても、注文から預金口座で使えるようになるまでには日数がかかります。商品・金融機関ごとの受渡日と出金手順を、支払期限より前に確認しましょう。
NISA特有の注意点も確認しよう
みらい犬
2026年10月9日時点の新しいNISAでは、口座内の売却益や配当・分配金は原則非課税です。ただし、配当金の受取方法など、非課税扱いを受けるための条件には注意が必要です。NISA口座内の損失は、特定口座などの利益との損益通算や、損失の繰越控除ができません。
新しいNISAで保有する商品を売ると、売却した商品の簿価(取得金額)分の非課税保有限度額が翌年以降に再利用可能になります。売却時の評価額分がその年に戻るわけではありません。再購入する場合も、年間投資枠(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)などの範囲内です。
2023年までの旧NISAで買った資産を持っている場合は、新しいNISAとは非課税期間や売却後の枠の扱いが異なります。保有口座と購入年を確認し、制度の最新情報は金融庁や利用中の金融機関の案内で確かめてください。税金や給付への影響が気になる場合も、個別の状況に応じて税務署や自治体などの窓口に確認しましょう。
【シミュレーター】預金とNISAの取り崩し順を試算してみよう
みらい犬
預金残高、NISAの評価額、今回使う金額、毎月の生活費、預金で残したい月数を入力してみましょう。設定した生活防衛資金を残し、それを超える預金から先に使い、不足分をNISAの売却で補う場合を試算できます。
預金に毎月の生活費の指定月数分を残し、それを超える預金から先に使い、不足分をNISAの売却で賄う単純化した試算です。運用損益・相場変動・売却手数料は考慮しません。NISAの非課税保有限度額は売却した商品の簿価分が翌年以降に再利用可能になりますが、売却額がそのまま当年の年間投資枠に戻るわけではありません。
試算は入力時点の金額を使った目安です。運用資産の値動き、物価の変化、税金、売却時の価格や出金までの日数は結果どおりになりません。預金残高や支出が変わったら、条件を入れ直して見直しましょう。
公式情報・参考資料
- 金融庁「NISAを知る」(年間投資枠、非課税保有限度額、売却後の枠の再利用)
- 金融庁「NISAに関するよくある質問」(簿価による枠管理と翌年以降の再利用)
まとめ:現金の備えを守りながら取り崩す
みらい犬
老後資金の取り崩しは、必要な預金を確保してから、余裕資金とNISAの売却を組み合わせるのが考え方の出発点です。毎月の不足額、数年以内の支出、緊急時の備えを見積もり、預金の下限を決めましょう。相場の状況だけで順番を決めず、家計と資産の割合を定期的に点検することが大切です。
免責:この記事は2026年10月9日時点の制度情報に基づく一般的な解説であり、特定の金融商品の購入・売却を勧めるものではありません。制度の更新や個別の税務上の扱いは、金融庁、国税庁、利用中の金融機関などの公式情報をご確認ください。
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