年金受給者は家族の扶養に入れる?税金と健康保険の条件を解説

年金を受け取る親や配偶者について「自分の扶養に入れる?」と迷う方は多いでしょう。まず押さえたいのは、税金の扶養と健康保険の扶養は別制度で、収入の数え方も違うという点です。

年金受給者の「扶養」は税金と健康保険で分けて考える

みらい犬

僕も「扶養」という言葉をひとまとめに考えていたワン。親の年金を確認するときは、税金と健康保険の紙を分けて見るワン。

所得税の扶養は、家族を支える人が扶養控除や配偶者控除などを受けられるかという話です。一方、健康保険の扶養は、会社員などが加入する健康保険で家族が被扶養者になれるかという話。たとえば親の年金収入が税金上の目安を超えても、健康保険上の条件は満たす場合があります。

制度主な判定項目主な確認先
所得税の扶養親族関係、生計、年間の合計所得金額など国税庁、勤務先
健康保険の扶養年齢、今後の収入見込み、生計維持など加入先の健康保険組合・協会けんぽなど

なお、この記事の税金の数字は主に所得税の話です。住民税の所得要件や控除額は異なるため、住民税も含めた税額は市区町村や勤務先で確認しましょう。

税金の扶養:年金収入だけでなく「所得」で判定

みらい犬

年金の振込額をそのまま税金の判定に使うと思い込んでいたワン。まずは年金の種類と所得への換算を確かめるワン。

親を扶養控除の対象にするには、原則としてその年の12月31日時点で16歳以上の親族であり、扶養する人と生計を一にし、年間の合計所得金額が58万円以下などの要件を満たす必要があります。「生計を一にする」は必ずしも同居を意味せず、別居中でも生活費を継続して負担していれば該当する場合があります。

老齢基礎年金・老齢厚生年金などの公的年金は、受け取った額から公的年金等控除を差し引いて「雑所得」を計算します。公的年金等以外の所得が1,000万円以下で、年金以外に所得がない場合の目安は次のとおりです。

親の年齢公的年金等控除の最低額合計所得58万円以下となる年金収入の目安
65歳未満60万円年118万円以下
65歳以上110万円年168万円以下

たとえば65歳以上の母親が老齢年金を年160万円受け取り、ほかに所得がなければ、年金の雑所得は50万円。所得要件だけを見れば扶養控除の範囲内です。判定年の12月31日時点の年齢で計算し、給与や不動産収入などがあればその所得も合算します。遺族年金や障害年金は原則として非課税で、所得税の合計所得金額には含めません。

扶養する人の所得税の扶養控除額は、対象となる親が70歳以上なら原則48万円、同居する本人または配偶者の直系尊属で所定の条件を満たす「同居老親等」なら58万円です。これは税金がその額だけ減るという意味ではなく、課税所得から差し引く金額です。親自身が年金から天引きされる介護保険料などを負担していても、その金額を年金の収入額から直接差し引いて上表と比べるわけではありません。

配偶者が年金受給者なら配偶者控除を確認

みらい犬

親と配偶者では使う控除の名前も違うワン。自分の所得も関係すると知って、年金額だけで決めないようにするワン。

年金を受け取る夫・妻については、親に使う扶養控除ではなく配偶者控除・配偶者特別控除を確認します。配偶者控除は、配偶者の合計所得金額が58万円以下で、控除を受ける本人の合計所得金額が1,000万円以下などの条件を満たす場合が対象です。

配偶者が65歳以上で老齢年金だけを受け取り、公的年金等以外の所得が1,000万円以下なら、配偶者控除の年金収入の目安は年168万円以下です。配偶者の所得が58万円を超えても133万円以下なら、本人の所得などに応じて配偶者特別控除を受けられる可能性があります。ただし、本人の合計所得金額が900万円を超えると控除額は小さくなり、1,000万円を超えると対象外です。

なお、配偶者控除の対象となる配偶者は法律上の婚姻関係にある人です。具体的な控除額は、本人・配偶者双方の所得や配偶者の年齢で変わります。

健康保険の扶養:60歳以上は年収180万円未満が目安

みらい犬

税金で数えない遺族年金も、健康保険では確認が必要なんだワン。親が別居なら仕送りの記録も残しておきたいワン。

会社員などの健康保険で被扶養者と認められるには、主として加入者本人の収入で生活していることが必要です。60歳以上の人の年間収入が180万円未満(60歳未満は原則130万円未満)であることが基本的な目安です。さらに、同居なら原則として本人の年間収入の2分の1未満、別居なら本人からの仕送り額未満であることなども確認されます。収入が目安未満でも、自動的に扶養に入れるわけではありません。

健康保険では、老齢年金に加え、税金上は非課税の遺族年金・障害年金も収入に含める扱いが一般的です。過去1年間の確定収入だけでなく、認定時点からの年間収入の見込みで判断されるため、年金の改定や仕事を始めた際は加入先へ連絡しましょう。必要書類や細かな認定方法は保険者によって異なります。

また、親や配偶者が75歳になると原則として後期高齢者医療制度に加入し、会社員の健康保険の被扶養者にはなれません。一定の障害があり認定を受けた65~74歳の人も対象となる場合があります。ただし、後期高齢者医療制度の加入者でも、所得要件を満たせば税金上の扶養控除などの対象になり得ます。国民健康保険には会社員の健康保険のような被扶養者制度がない点も押さえておきましょう。

親・配偶者を扶養に入れたいときの確認手順

みらい犬

僕なら年金の通知を見てから、勤務先に相談するワン。おっちょこちょいで手続きが二度手間にならないよう、別居なら送金記録も先に探すワン。
  • ①年金を整理:老齢・遺族・障害の種類とそれぞれの年額を、年金振込通知書などで確認します。給与や家賃収入があれば併せて整理します。
  • ②税金を判定:国税庁の「扶養控除」「配偶者控除」「公的年金等の課税関係」を参照し、所得と生計要件を確認します。手続きは原則として勤務先の年末調整または確定申告で行います。
  • ③健康保険を確認:勤務先を通じて加入先の健康保険組合や協会けんぽに、収入見込み・同居の有無・必要書類を問い合わせます。別居なら仕送りを確認できる振込記録などを準備しましょう。

たとえば68歳の親の老齢年金が年170万円でほかに所得がない場合、上記の前提では所得税の扶養控除の目安である年168万円を超えます。一方、健康保険の年180万円未満という収入基準だけなら範囲内です。最終的な認定は生計維持関係や加入先の基準も含めて判断されます。

まとめ:年金の種類・年齢・生計をそれぞれ確認しよう

みらい犬

「年金があるから扶養は無理」と早合点しなくてよさそうだワン。制度ごとに条件を確かめて、分からない点は窓口に聞いてみるワン。

年金受給者を扶養に入れられるかは、税金では合計所得金額、健康保険では収入見込みと生計維持関係を分けて確認するのが近道です。65歳以上で老齢年金のみなら、所得税の扶養控除・配偶者控除は年168万円以下、60歳以上の健康保険の被扶養者は年180万円未満が収入面の目安。ただし年金以外の所得、非課税年金、別居や75歳到達などで結論は変わります。迷ったら税金は国税庁・税務署、健康保険は加入先の保険者へ確認してください。

この記事は2026年11月8日時点の制度をもとにした一般的な解説です。個別の税額や被扶養者認定を保証するものではありません。制度改正や加入先ごとの取扱いもあるため、手続き前に国税庁、日本年金機構、協会けんぽまたは加入先の健康保険組合などの公式情報をご確認ください。