公的年金等の源泉徴収票の見方|確定申告で確認する項目を解説

公的年金等の源泉徴収票には、確定申告で確認したい金額がまとまっています。ただし、そこに書かれた「支払金額」は手取り額でも所得額でもありません。欄ごとの意味と、申告が必要か確認する順番を見ていきましょう。

公的年金等の源泉徴収票とは?まず書類の全体像を確認

みらい犬

僕も書類が届くと、つい手取り額を探してしまうワン。まず何の年金を記録した書類なのか、落ち着いて見るワン。

公的年金等の源泉徴収票は、年金の支払者が、その年の支払額や天引きした所得税等を知らせる書類です。日本年金機構から老齢年金を受けている場合、通常は翌年1月ごろに前年分が送付されます。ほかの支払者から受け取る年金は、各支払者の案内も確認しましょう。

対象となる「公的年金等」には、国民年金・厚生年金の老齢年金のほか、一定の企業年金なども含まれます。一方、障害年金・遺族年金は原則として非課税で、公的年金等の源泉徴収票は通常発行されません。個人年金保険など、公的年金等に当たらない収入も別に確認が必要です。

  • 最初に見るもの:対象年分、受給者の氏名、支払者
  • 複数の年金を受け取る場合:支払者ごとの源泉徴収票
  • 申告前に用意したいもの:給与など他の所得の資料、控除を受けるための証明書

同じ年に複数枚届いたら、一枚だけで判断しないことが大切です。また、再交付が必要な場合は、日本年金機構や該当する年金の支払者に手続きを確認してください。

「支払金額」と「源泉徴収税額」はどう違う?

みらい犬

振込額より支払金額が大きくても、すぐに間違いとは限らないんだワン。天引き分と税金を別々に見てみるワン。
主な欄見方・確定申告での役割
支払金額その年に支払われた公的年金等の金額。原則として税金・社会保険料の天引き前の額
源泉徴収税額年金から差し引かれた所得税および復興特別所得税の額。確定申告で税額を精算するときに確認
社会保険料の額年金から特別徴収された介護保険料などの額。社会保険料控除の確認に使用

例えば、源泉徴収票の支払金額が200万円、源泉徴収税額が3万円でも、「年金所得が200万円」「追加で3万円納税する」という意味ではありません。公的年金等に係る雑所得は、支払金額から公的年金等控除額を差し引いて計算します。控除額は年齢、年金収入額、公的年金等以外の所得の状況などで変わるため、該当年分の国税庁の計算表で確認しましょう。

源泉徴収税額は、その年にすでに天引きされた所得税等です。確定申告をすると、ほかの所得や各種所得控除も含めて税額を再計算し、納め過ぎなら還付、不足なら追加納付になることがあります。源泉徴収税額が0円なら、年金から天引きされた所得税等の還付はありませんが、給与など別の収入から税金が引かれている場合は、それも含めて確認します。

社会保険料・扶養欄も確認しよう

みらい犬

税額だけ見て書類をしまいそうだったワン。保険料や扶養の欄も、僕なら一つずつ確かめるワン。

「社会保険料の額」には、年金から天引きされた介護保険料、国民健康保険料・後期高齢者医療保険料などが記載されます。口座振替や納付書で自分が支払った保険料は、源泉徴収票に含まれないことがあります。申告する年に実際に支払った分について、領収書や自治体の通知などで別途確認してください。

控除を受けられる人にも注意が必要です。例えば、配偶者の年金から特別徴収された保険料は、原則としてその配偶者が支払ったものとして扱われ、自分の社会保険料控除にはできません。一方、家族の保険料を自分の口座から支払った場合は、控除の対象になることがあります。支払方法と負担者を確認しましょう。

扶養親族や配偶者に関する欄は、年金の支払時に提出した「扶養親族等申告書」の情報などが反映される部分です。源泉徴収票の記載だけで、確定申告で使える控除がすべて決まるわけではありません。扶養状況に変更があった場合や、医療費控除・生命保険料控除などを追加したい場合は、該当年分の要件を確認して申告内容に反映します。

確定申告が必要かを判断するポイント

みらい犬

年金を受け取ったら全員が確定申告すると思っていたワン。支払金額だけでなく、ほかの所得も一緒に確認するワン。

公的年金等の受給者には、所得税の「確定申告不要制度」があります。原則として、公的年金等の収入金額の合計が400万円以下で、その年金がすべて源泉徴収の対象となり、さらに公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下なら、所得税の確定申告は不要です。400万円は所得ではなく収入金額の基準であり、複数の公的年金等は合算します。

ただし、この制度は「申告してはいけない」という意味ではありません。年金から所得税等が引かれていて、医療費控除や寄附金控除などを追加できる場合、申告によって還付を受けられる可能性があります。逆に、年金以外の所得がある場合や、外国の年金など源泉徴収の対象でない公的年金等がある場合は、不要制度に当てはまるか慎重に確認してください。

  • 年金以外に給与、事業、不動産、個人年金などの所得がないか
  • 源泉徴収税額があるか、追加で受けたい所得控除があるか
  • 所得税の申告が不要でも、住民税の申告が必要ではないか

所得税の確定申告不要制度と住民税の申告は別です。例えば年金以外の所得がある場合は、お住まいの市区町村に住民税の申告要否を確認しましょう。所得の種類や金額によっては、所得税の申告が必要になることもあります。

確定申告をする場合の確認手順と注意点

みらい犬

僕なら入力を始める前に書類を並べておくワン。あとから別の年金の分が見つかると慌てそうだワン。
  1. 申告する年分の公的年金等の源泉徴収票をすべてそろえ、対象年分を確認する。
  2. 各票の「支払金額」「源泉徴収税額」「社会保険料の額」を確認し、給与など他の所得資料も用意する。
  3. 国税庁「確定申告書等作成コーナー」で、該当年分の案内に従って年金収入や控除を入力する。
  4. 計算結果、還付・納付額、住民税に関する入力を確認して提出する。

入力時は、銀行口座への振込額ではなく、原則として源泉徴収票の支払金額を基にします。社会保険料を天引き後の手取りから推測して入力すると、金額がずれるおそれがあります。複数の源泉徴収票がある場合、源泉徴収税額も含めて入力漏れを避けましょう。

源泉徴収票の申告書への添付は原則不要ですが、入力内容を確認できるよう大切に保管してください。申告期限、控除の要件、年分ごとの計算方法は国税庁の「確定申告特集」「確定申告書等作成コーナー」で確認できます。年金の支払記録や再交付については、日本年金機構または各年金の支払者が確認先です。

まとめ|支払金額・税額・控除を分けて見る

みらい犬

支払金額を手取りと勘違いしないことから始めるワン。申告が必要か迷ったら、ほかの所得と住民税も確認するワン。

公的年金等の源泉徴収票では、支払金額は原則として天引き前の年金額、源泉徴収税額はすでに引かれた所得税等です。社会保険料や扶養に関する記載も確かめ、複数枚ある場合はすべてそろえましょう。確定申告不要制度に当てはまっても、控除による還付や住民税の申告要否は別に確認することが大切です。

※この記事は2026年10月26日時点の公表情報を基にした一般的な解説です。実際の申告では対象年分の国税庁・日本年金機構・お住まいの市区町村の案内を確認し、個別の判断に迷う場合は税務署や税理士にご相談ください。